2007年 03月 16日
コーネルの箱 |
オープニングイヴェントに集ってくださった方々には「あ~、いよいよ・・・」と察しがつかれると思いますが、7月にデヴィッド・リンチの新作映画「インランド・エンパイア」の上映が決まってそれにぶつける形で滝本誠さんのリンチ本が刊行されることがほぼ決定したようです。(現在発売中の『TVBross』でも滝本さん自ら公言されてしまいました。)
トークショーでも言われてたようにマルホランド・ドライブ論200枚分(?)の力作がいよいよお目見えとなり、「渋く薄汚れ、ノワールジャンルの快楽」から丸一年目の新刊本が心待ちにされます。 ところで精神科医の先生が精神医学面からマルホランドを解析されたHPで読んだ解説文はとても興味深いもので、難解といわれるこの映画の意味が見事に解明されていました。全ての面で正解がないのがリンチの映画の魅力だと結ばれていましたが、ここでもちょっと煙に巻かれてしまったようです。この映画に登場するblue boxの意味を鍵を開ければこの世の全ての悪事が飛び出すパンドラの箱ととらえてしまったのは陳腐すぎるでしょうか。
箱といえば・・・(とっても前置きがながくなってしまいましたが。)
小さな頃大切なもの(ガラクタ)を箱にしまって時々中を覗いては愉しみに耽ったという経験を誰もが持ってることでしょう。そんな箱を芸術にまで高めてしまったコーネル。「箱の芸術家」ジョセフ・コーネルをチャールズ・シミックが論じた「コーネルの箱」はとても素敵な本です。エドワード・ゴーリーの名訳者、柴田元幸さんの訳(注釈がまたとっても詳しく親切です。)がすうっと体に染み込むようなシミックの散文詩とコーネルの箱の写真の数々。箱という小宇宙に込められたコーネルの内省的で純粋な思いが伝わってきます。
by littlewonder
| 2007-03-16 02:47